1996、1997のエンボス技法で2.0mm厚以上の革の一部をレリーフ状に膨らますため、その部分を1.0mm厚程度にすきました。
1点ものならぺディーで手すきでもOKですが、20枚以上の加工が必要となれば、効率を考えます。
袋物の革すきで職人が使うテクニックとして型スキがあります。
ファスナーポケットのくり抜きすきや、ダーツの三角すきに使います。
芯材のテキソンやバイリーンの0.6mmをすく形に切り出し、両面テープですきたい場所に貼ります。
例えば1.2mm厚革の表面にこれを貼り、革すき機をべたすき(水平すき)1.2mm厚に設定し、このすき間を通すと革自体は素通りし、貼ってある芯材の0.6mm分だけ革裏がすかれ、型分だけ0.6mm厚になります。
型は次の使用まで革すき機の近くに貼っておきます。
(1)両面テープを貼ったバイリーン型。 | |
(2)ファスナー窓部に貼り付け。 | |
(3)革厚と同じすき間に通す。 | |
(4)裏が型通りにすき上がり。 |
ただこの方法は粘着で革の表面が荒れるため、上記のように折り返して隠れてしまうという条件下で有効です。
そこで思いついたのが革と同じサイズのテキソンに型を貼り、革に合わせ持って革すき機を通す方法でした。
2.0mmのラティーゴを1.0mmに型スキのため、型は滑りの良い1.0mmのオイルレザーをボンドで貼ります。
革と同寸でなくても中心点と1辺を合わせておけば、複数回革すき機を通せます。
一度ではすけない面積をずらしてすく事ができます。
テキソンに1.0mmのオイルレザーを接着。 1996猫型、ギャラリー立体造形ページのバッファロースカル型。 |
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ずれないように革すき機に3回通し。 1997の犬型にすかれたラティーゴ裏。 |
以上は革スキ機を使うため一般的ではありませんが、当時と違いすき機もかなり普及してきたように思います。
現在のような情報化社会でなかったため、受講された同業の方に本編よりも革すき方法を喜んでいただいたのが印象的でした。